★白無垢
打掛はもとより、掛下、帯、足袋、草履、小物に至るまで、一式を白を基本として、
花嫁を白に染め上げる白無垢の装いは、花嫁様の代名詞といっても過言でない、日本の伝統的な婚礼衣裳です。
白無垢という花嫁衣裳の始まりは室町時代と言われています。
きっかけは足利幕府が武家を統制するために設けた様々な規律のなかで、婚礼における花嫁衣裳を「白の幸菱文様」と定めたことにありました。
そのまま広く好まれるようになり、現在においてもその姿があります。
「白」は古くから太陽の光の色でした。それすなわち神聖で、きわめて清らかなもの。
その色の衣裳を身にまとうことで花嫁は清純無垢を、そして「邪気を払い、神聖な儀式にのぞむ」心構えを表現するとされています。
★神聖な儀式にのぞむ
また、「あなたの色に染まります。」の思いを示すともよく耳にしますが、
この装束が成立した武家の時代、嫁ぐとは生まれ育った家から旅立つことであり、
その意味合いや「家」に対する意識が、現代とは比べようもないほど重く深かった時代のものでした。
近世の白無垢は白を基本としつつも、柄に合わせて金糸や少しの色糸などでアクセントや豪華さを演出したり、
裾や袖口に紅をのぞかせたりと、白無垢とひとくちいっても様々な衣裳があります。