3013 本唐織色打掛
●3013 本唐織 亀甲地紋小華模様に団扇柄箔糸で亀甲地紋が淡い色目のベースに織り込まれております。
可愛い団扇の模様がポイントになっておりますが、全体的にはピンク~淡いパープルが織り交ざった印象で上品な花嫁様に仕上がります。
「団扇文様」について
手で扇(あお)いで風を起こす団扇は、扇子とその機能は同じですが、扇子は折りたため、団扇は折りたためません。扇に柄をつけただけのとてもシンプルなつくりです。
シンプルなつくりのためか、団扇は日本でも古墳時代にはすでに用いられていたようです。
そして、扇いで、風を起こすためだけではなく、神事の際に禍(わざわい)や汚れをはらうための道具として用いられていました。
平安時代には、扇の部分を鳥の羽や絹で作成したさまざまな団扇が作られ、貴族達の間で用いられていました。
戦国時代には、合戦の際に指揮者が手に持って戦を采配する軍配団扇が作られました。
やがて、この団扇は着物などの文様として描かれるようになり、一般的な団扇文様のほか軍配団扇をモチーフにしたものもあります。
団扇の文様では、団扇の扇部分のみを意匠化して、扇の中には描かれた絵をあらわすという文様の中に文様という二重構造になったものが多いです。
江戸時代になると庶民にも広まり、道具としても日常的に用いられました。
それに伴い扇の文様も数多く描かれるようになり、当時つくられていた豪華な能装束にも団扇の文様があらわされていて、さまざまな人たちの間で団扇が用いられていたことがうかがえます。