2397 唐織色打掛
2397 立涌御所車文
手刺繡を思わせる唐織は正に織の貴族です。
関白秀吉が紅葉狩りを楽しんだ風情を観るような美しい色彩の調和を誇る打掛です。趣を好む日本人の心をみるように、華やかさの中に、におうような桃山情緒を織り込みました。御所車に立湧草花文を配した有職文様でまとめあげております。
御所車(ごしょぐるま)とは天皇や貴族など、高貴な人が乗る牛車の名称で、応仁の乱以後、宮中の儀式にだけ用いたことからこの名がつきました。優雅な平安時代への憧れから生まれた王朝文様の代表のひとつで、江戸時代に入って盛んになった文様です。多くの場合、四季の草花や流水と合わせて用いられます。その雅やかな風情は現代でも好まれており、婚礼衣装や振袖など、晴れの日の着物に描かれる高貴な柄行きです。
また、裾にかけて描かれた立涌文様は花嫁衣裳の白無垢や掛下の柄に使われたり、歴史的な屏風や能の装束にも用いられる文様です。2本の曲線を用いて蒸気が立ちのぼるさまは吉祥とされ、様子を表す有職文様のひとつです。
その他にも、陽炎が立ち昇る揺らめきの様子や、雲気(うんき)が立ち昇る様子と言われることもあります。
有職文様とは、平安時代以後、公職に就いていた公家や女房などの装束や調度品に用いられた格の高い模様で、家柄・伝統・位階などによって使用できる模様が定められていました。