2897 本唐織ピンク地打掛
●2897本唐織ピンク地蝶に下り藤模様
ピンク地に箔糸で麻の葉地紋がベースになった唐織です。
蝶の柄
蝶は芋虫からさなぎ、そしてまばゆい蝶へと成長していく華やかな変容が、若い女性たちの人生とそのまま重なることを願う意味があります。
色打掛を身にまとう新婦様たちに、この先の大切な人生を悔いなく生きられるように、蝶の力が授けられるようにとの願いが込められています。
吉祥文様としての蝶
産卵期を迎える前のメスとオスの蝶は二匹で舞っているところをよく目にします。
このような仲睦まじい蝶の夫婦に重ねて、人生の伴侶との円満な家庭を願う柄としての吉祥文様としての意味があります。
また、未来の人生において華々しい開花を願い、ひらひらと飛び回るさまが可憐に見える蝶は「立身出世」の意味もあり、
蝶の天高く昇っていく様は人生の高みを上ってゆく姿が不死不滅の象徴とあがめられています。
特に揚羽蝶は見た目の美しさ、豪華さから紋章のモチーフになっており、不死不滅を象徴する蝶は鋭い顔をして威厳のある姿で描かれます。
藤の柄
日本では、藤の花の紫は「高貴な色」とされ、古来から多くの和歌で詠まれてきました。
藤は繁殖力が強く、また「ふじ」は「不死」を連想させることから子孫繁栄・長寿の象徴とされ、高貴でとても縁起の良い柄です。
藤といえば、4~5月に咲く季節限定の花…というイメージがあるかもしれませんが、おめでたい柄として通年身に着けることができます。
桜が終われば藤の花といわれ、着物や帯の柄としても人気で。
古くから日本に自生しており、豊作、子孫繁栄を願う文様として愛され平安時代より、公家社会でさまざまな装束に用いられた有職(ゆうそく)文様でもあります。