3025 唐織色打掛
●3025 ピンク地唐織色打掛
色は可愛らしいグレーからピンクへのぼかし上げですが柄はとても落ち着いた細かい柄の色打掛です。
ポイントになっている扇の柄は、先端が広がった末広がりの形から将来の展望が広いことを表すとして好まれています。
縁起物とされており、末広がりの形から「末広(すえひろ)」とも呼ばれ、発展、繁栄を願う縁起のよい吉祥文様とされ
文様としては、開いた状態だけでなく閉じた状態、半開きの状態、骨組に貼る前の地紙も広く文様とされている柄です。
また、丸い柄は団扇の模様で扇子とその機能は同じですが、扇子は折りたため、団扇は折りたためません。
扇に柄をつけただけのとてもシンプルなつくりです。シンプルなつくりのためか、団扇は日本でも古墳時代にはすでに用いられていたようです。
そして、扇いで、風を起こすためだけではなく、神事の際に禍(わざわい)や汚れをはらうための道具として用いられていました。
平安時代には、扇の部分を鳥の羽や絹で作成したさまざまな団扇が作られ、貴族達の間で用いられていました。
戦国時代には、合戦の際に指揮者が手に持って戦を采配する軍配団扇が作られました。
やがて、この団扇は着物などの文様として描かれるようになり、一般的な団扇文様のほか軍配団扇をモチーフにしたものもあります。
団扇の文様では、団扇の扇部分のみを意匠化して、扇の中には描かれた絵をあらわすという文様の中に文様という二重構造になったものが多いです。
江戸時代になると庶民にも広まり、道具としても日常的に用いられました。
それに伴い扇の文様も数多く描かれるようになり、当時つくられていた豪華な能装束にも団扇の文様があらわされていて、
さまざまな人たちの間で団扇が用いられていたことがうかがえます。