5020 唐織色打掛
●5020 唐織 ピンク地草花模様
淡いピンク地全体に広がる草花模様の打掛です。
唐織は糸を浮かせて織る技法なので刺繍のような立体感が豪華に見えます。
寄り添うように咲く秋草の文様は、うつろいゆく時を思わせる「静寂」のモチーフでもあります。
日本の代表的な模様の一つで、藤原時代(11世紀末)から今日に至るまで、工芸のあらゆる分野で愛用されてきた模様です。
これは秋草の優しく、細やかな姿が、なによりも強く日本人に「もののあはれ」を訴えかけるものであったようです。
唐織は、主に女性の表着として用いられる能装束を代表する織物で、外見がどっしりとしていてかつ華麗な模様が特徴的です。
色糸に金銀を交えて絵文様を織り出した織物を唐織というので、織りの組織の名前が、装束名となっています。
織物としての特徴としましては
唐織は絵筆のように糸をあつかうことができる織物といわれております。
色の数が多くなれば、それだけ手間もかかり、時間を費やさなければなりませんが、何色もの色を、想いのままに使い分けて、みごとな織物の製造も可能です。
制作工程は、西陣織とよく似ていますが、大きく違うのは、柄を織り出す緯糸に、だるま糸といわれる太くて光沢のある高品質の糸が使われます。
また織の技法でも、唐織の場合は「濡れ貫き」という手法で織られます。
これは、一筋ずつ糸に水を含ませて織っていく特殊な方法で、模様の美しさが鮮やかに浮き出て、刺繍のような雰囲気をみせ、さらに表情が非常につややかなことが特徴です。